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中米グアテマラの首都グアテマラシティーに入ったのは、五月十八日の午後。
彼と再会できる望みはそれほど持っていなかった。それでも、もしかしたら・・・。そう思って、彼の写った写真を持ってきた。
もっとも、彼と呼ぶには、ちょっと無理があるかもしれない。写真に写っているのは、10歳の男の子だからである。
久しぶりに訪れるグアテマラのゴミ捨て場。個人的には、写真撮影がしにくい所だ。そこがゴミ捨て場だから、というからではない。
写真を撮っていて、こぶし大の石やゴミの中から拾ったリンゴを、背後からぶつけられたことがあったからだ。あからさまに嫌がらせをされたのは、これまで訪れた7カ国のゴミ捨て場で、グアテマラだけだった。
できれば来たくなかった。だが、「写真を持ってきてね」と言った、男の子との約束があったのだ。
「この子知っている?」
近くで働いているおばさんに尋ねてみた。
「マルコかな。そうだ、マルコだ。きっと向こう側で働いているよ。それかあっちで、シンナーボンドを吸っているはず」
えっ、やっぱり居るのか。ちょっと驚きだ。周りに人が集まってきた。
「マルコだ。マルコ。」
一枚の写真は、ゴミ拾いで汚れた手の中を渡り歩く。ラミネートされた写真はたちまち黒ずんでいく。
ふと、目の前に青年が立った。もしかして?
受け取った写真をじっと見つめ、恥ずかしそうにはにかむ。無口でおとなしくなった。当時、カメラの前に身を乗り出してふざけ回り、用もないのに何かと話しかけてきたのが嘘のよう。
写真の表面についた汚れを、自分の服の袖で懸命にぬぐい、何度も写真を見入る。
「今、いくつになった?」
「20歳。」
彼はこの間、どんな暮らしをしてきたのだろうか。正直、私はどこまで想像力を働かせたら、彼の境遇を理解することができるのだろうか。
写真の表面に雨粒が落ちてきた。いよいよ降ってきたか。
彼の写真を撮った11年前もまた、雨期の始まりを告げる、分厚い雲がたれ込める5月だった。
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