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「中国は一九九〇年代に主要国が軍事政権への支援を控えている間に、本格的な援助を実施し、いまや、軍事援助が経済協力の規模をしのいでいる。
この間、日本は軍事政権の民主化や人権状況の改善に応じて支援し、経済制裁を科す米欧とは一線を画してきた。<中略>日本はこれまでの強みをテコに、ASEANとともに市場経済化や産業技術支援などを通じ、ミャンマーの取り込みをはかるべきである。
」(『産経新聞』)
ビルマの民主化のことを語っているかと思えば、最後には結局日本の国益論が出てきている。ここにはビルマ国内で40年以上も軍政下で苦しむビルマの人びとのための議論がない。
実際、日本が今のビルマ軍政に影響力を持っていると勘違いしているようだ。
「現地に来た数年前、私たち(日本政府)が何の影響力を持っていないと知って驚きました。あれから、前向きに考えてみると、そんな状況は、少しはよくなったのかも知れません。一つには、私たちは実績を残したからです。もう一つには、(軍政が)外の世界の声を聞くようになったからです。しかしながら、私たち(日本政府)の影響力は、(ビルマ軍政には)まったく通じていません」("THE
MILITARY REGIME'S VIEW OF THE WORLD" ICG=international crisis group)
これは、首都ラングーンの「ミャンマー大使館」に所属する日本高官の話である。
これが今のビルマと日本との関係なのだ。日本のビルマに対する影響力はそれほどない。ビルマと中国との関係に関しては、次のような指摘のほうがまだいい。
「中国の抜け駆け援助が軍政の強硬派の自信を高めるなら、国際社会の努力は底の抜けたバケツで水をくむようなものだ。中国は、自国の利害のみでミャンマー軍政へ突出した援助をするのは控えるべきである。」(『毎日新聞』)
「それにしても、<中略>軍事政権に、いつまで『援助カード』を切り続けるのか。このような外交がアジアや他の国々にどう受け止められているかも考えなければならない。ミャンマー一国だけでなく、東南アジア全体の将来を考えて、対ミャンマー外交を根本から練り直すべきだ。」(『朝日新聞』)
『毎日新聞』はかつて、アウンサンスーチー氏の手記『ビルマからの手紙』を連載していた経緯があり、記者の同国への入国は許可されなくなった。ビルマに入ることができないからだろうか、『毎日新聞』は、他紙に比べて、突っ込んだ情報を流し続けている。
90年の総選挙で圧勝したのはスーチー氏が書記長をつとめる国民民主連盟(NLD)であり、国民の総意は軍政側にはないと明記したのは、『朝日新聞』・『毎日新聞』・『日経新聞』で、『読売新聞』・『産経新聞』は、初めから軍政のありきの主張である。
また、ウエブで読む限り、『高知新聞』・『東奥日報』・『北海道新聞』・『信濃毎日新聞』などは、日本の外交の限界を指摘し、ビルマの現状を伝えているといえるだろう。
あと、社説で触れて欲しかったのは、今回の政変時に、首都ラングーンにて軍政と五十五年近く武装抵抗を続けている民族集団の一つ、カレン民族同盟との和平交渉(キンニュン指導下)が進んでいたことである。世界一古い内戦と100万人近い「国内避難民」の存在があるということだ。ビルマの民主化への道のりは、全く明るくない。
ただ、そんな中でも、「ビルマは明日にでも変わる可能性もあるのです」と希望を捨てていないビルマ国内のテレビ関係者や「明日のミャンマーのために人材育成に力を注ぎたい」と精を出す日本の国際協力関係者の存在は、民主化されるビルマの日を夢見させてくれる。
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