「 地球をたがやす 」

「 3食 食べて働ける。 ゴミの谷の笑顔 」
(4月12日)
1月の半ば、フィリピンのスモーキーバレー(ごみの谷)に初めて入った。
大きな麦わら帽子をかぶり、腰をかがめた少女が働いていた。
近づいて、下からひょいと顔をのぞき込む。なんと、おばあさんだった。
「アノパガランモ(お名前は)?」
彼女の大きく開けた口には、歯が一本もない。返事は声にならなかった。
「(クハ〜、ハハハ)」
覚えたばかりのタガログ語では通じないのか。声の調子を変えて、
同じ質問を繰り返してみる。
「ア・ノ・パ・ガ・ランモ」
「(クハ〜、ハハハ)カティボー!(ハハハハ)」
おお、通じた。
「イ・ラ・ン・タ・オ・ン・カ・ナ(何歳ですか)」
「シックスティー・ワン!」
英語で返答してくれた。61歳か。
フィリピンに足を踏み入れるまで、カンボジア、ニカラグア、エルサルバドル
など6カ国の、同じような場所を訪れた。どこでも気分はめいりがちだった。
しかし、カティーボさんのその笑顔は、私の気分を一変させた。
どうして、そんな笑顔ができるのか。61年間精一杯生きてきた、その証し
なのだろうか。
翌日、ごみ捨て場横に建つ彼女の家を訪ねた。
「今の幸せだって?それはねえ、毎日3食食べることができて、働けること
かな」
内戦に巻き込まれ、セブ島から流れ着いたのが12年前。
あと何年、ここで働き続けるのだろうか。
追いつめられた人々は、笑うことしか残されていないのかもしれない。
たがやす2