日本の援助は誰のため

─ ビルマ民主化への道 (1) ─
<タンシュエ独裁の抑圧政治に手を貸すな>
アジア欧州会議への正式参加を果たしたビルマ(ミャンマー)では、会議が終わった直後に政変が起こり、独裁が一段と進むことになった。しかし、そのビルマに巨額の資金援助や債務救済を続けているのは、他でもない日本。いま日本がなすべきなのは、民主化支援ではないのか。

先月19日、ビルマから軍政(国家平和発展協議会=SPDC)内で政変が起きたというニュースが流れた。軍部のナンバー3であるキンニュン首相が、健康上の理由から職を解かれたという。

しかし国営紙はその5日後、キンニュン氏は「汚職に関与し、軍の規則に違反したため」との解任理由を発表した。この事件は、日中韓を含めた東南アジア諸国連合(ASEAN)と欧州連合(EU)との、アジア欧州会議(ASEM)が終わった直後のことだった。


この会議で欧州側は当初、ビルマの人権状況の悪化を理由にビルマ首脳の参加を拒んでいた。だが、ビルマの参加は首脳ではなく、外務大臣の出席とすることで、なんとか会議は成立した。

ASEAN側にはもともと、それぞれの国の内政には不干渉という不文律があり、「欧米式の民主主義」の押しつけに反発する流れがある。EU側は、アジア側との貿易拡大進めたいという意図はあったが、人権問題について譲れない立場もあった。

両者の間の溝を埋める根回しに、日本政府が深く関わっていたという情報もある。ビルマは国民に支持されない軍体制のもと、次第に国際社会への実績を積み上げている。


ビルマの軍政は、軍政とは名ばかりで、実はSPDCの最高責任者タンシュエ議長の独裁国家だといってもいい。 軍部内の軋轢は以前から噂されていた。議長は、キンニュン氏がアウンサンスーチー氏と妥協して民政移管を進めようとしていると受け取っていたらしい。



誰がビルマの「意思」を決めるのか

タンシュエ議長は、「ビルマにはビルマのやり方があり、他の国からの干渉を受けない」と強気の発言を続ける。だが問題は、その「ビルマのやり方」を誰が決めるのか、ということである。

スーチー氏が書記長を務める国民民主連盟(NLD)は90年の総選挙で大勝。だが、40年以上もの間ビルマを支配し、国民を経済的に苦しめている軍政権は、その結果を無視して政権を手放そうとしない。ビルマ国民の意思を軍政だけが決めていいのだろうか。

タンシュエ議長は、国民に絶大な人気を誇るスーチー氏を毛嫌いしている。軍の幹部も議長の前で「スーチー」という名を出すのさえ、細心の注意を要するという。「スーチー氏の名前を出さないように」。昨年11月のASEAN首脳会議において、議長と会談を控えていた小泉首相にも、そう助言されていた(英BBC)。

ロシアから購入した戦闘機。
(首都マラングーン、2003年8月)

軍内部が分裂している限り、スーチー氏の自宅軟禁からの解放は見込めなかった。だが、議長が軍内部を完全に押さえ切ったいま、国際社会の批判をかわすために、政治活動を 全く認めない形で、スーチー氏の解放があるのかも知れない。