「 地球をたがやす 」

「 太平洋越え 『 喰えない構造 』 」
(4月26日)
スモーキーバレーでは高齢者も多く見かける。私が出会った最高齢の
グレゴリオさん(76)は、気温が高くならない午前中、毎日働きに出る。
偶然カメラを向けたノニータさん(63)が話しかけてきた。女性と子ども
を支援する自治組織のリーダーだ。
「私はもう年寄りだから、いいんです。でも、ここで働く子どもたちを
見てください。学校にも行けず、毎日汗水流しています。親に仕事がない
から、生活を助けるために仕方ないんです」
同じ話を、スモーキーバレー入り口のチェックポイントの管理人からも聞
いた。
「仕事がないのが問題」と。
しかし、在フィリピン7年目、ケースワーカーとして働く伊藤洋子さん(31)
の話しは違っていた。
「フィリピンの貧困は、農地改革がうまくいかなかったのが原因です。田舎
で自給自足できないから都会に出てくる。でも、ここで貧困の問題を真剣に
考えたら生きていけませんね。それでも、みんな楽しく生きていこう、辛さを
笑い飛ばそうという力強さを感じますね。笑顔には、背景があるんです」
私はそのとき、中米の小国ニカラグアのことを思った。94年、初めてゴミ捨て
場に足を踏み入れたのが、この国だ。
タガログ語と英語が中心のフィリピンだが、数字や曜日などに、スペイン語が
根強く残っている。そして、ノニータさんタガログ語で説明してくれた「バハラナ
 ブカス」(気にせず、あしたやればいいよ)という生活感覚は、まさにラテン
アメリカ的だ。
「喰えない構造」も、ラテン気質も、太平洋を越えてつながっているのではな
のか。
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