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「 地球をたがやす 」 |
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「 見ているつもりが、見られていた
」
(5月10日) |
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| 後頭部にガツンと激痛が走った。手を当ててみると血がべっとりとついている。誰かに
石をぶつけられたらしい。私は目の前で起こった殴り合いの撮影に夢中になっていた。 94年、中米のグアテマラ。いつものように、声をかけながら撮影を始めた。だが、 いくら明るく話しかけても、誰からも返事が返ってこない。立て続けに4人に素っ気 なくされると、「もういい。写真だけ撮ればそれでいい」という気になってくる。 石をぶつけられて振り向く。「誰だ!」。思わず日本語でどなる。けんかの騒ぎが一瞬、 静かになる。しかし、またもや反応はない。その時、初めて自分の身に不安を覚えた。 こんな日は、何が起こるかわからない。早めに引き上げることにした。 翌日、路上生活をする子ども保護施設で働くマリオに、そのことを話してみた。 「だから言っただろ、ごみ捨て場は危ないって。今日は、おれたちと一緒に行った方が いい」 マリオは、街を巡回して、公園や教会の隅でシンナーを吸っている子どもたちを見つけ たり、けがをしている子どもを治療したりする。3時間ほど街を歩き回って、最後に たどり着いたのは、石をぶつけられた場所だ。 子どもたちを集めて、傷の手当てをしていくマリオ。ふと、私の前に黙って立っている 少年に気づいた。昨日、声をかけたとき、返事をしてくれなかった男の子だ。どうやら 友だちと一緒に記念写真を撮ってほしいらしい。 今日はマリオと一緒だから、向こうから話しかける気になったのだろう。観察者のつもり でいたが、実は、こちらが観察されていたわけだ。 |
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