「 地球をたがやす 」

「 悪いことで、お金もうけはしない 」
(5月17日)
「悪いことをしたら、お金儲けは簡単かもしれない。でも、私はそんなことをしたくない。
だって、悪いことは悪いことだもの」
ひしゃげたペットボトルを拾い集めていた10くらいの女の子は、私の目を真っ直ぐ見て
言った。
前日、ニカラグアの首都マナグアの中央市場で目撃したことを、私は彼女に話していた。
「貧しい国」と言われるが、市場には生活用品があふれていた。突然、上半身裸の若い
男が路地奥から飛び出してきた。すぐ後ろを、白髪頭のおやじが竹の棒を持って追っか
ける。
男は何かにつまずいて転び、それを周りの屋台や商店主が取り囲んだ。白髪頭のおや
じが、竹の棒で男の顔や頭、背中を打ちのめし始めた。顔面血だらけになった男は、手
を合わせ、「やめてくれ」と懇願し続ける。
「何があったんだ」
横にいた男に尋ねてみた。
「かっぱらいだよ」
そんな市場を、首から2台のカメラをぶら下げて堂々と歩き回っている私は、無防備す
ぎるかもしれない。すれ違い際に、カメラバッグと帽子をひったくられそうになった
こともあった。
ごみ捨て場に入るとき、襲われて、カメラを奪われるかも知れない、という不安がない
といえば、うそになる。
そんなことを、女の子に話した。そして、
「ここで働くのは、大変だろう。もっと簡単にお金儲けをしようとしている人たちも
いるのに」と問いかけた。
彼女は働く手を止め、私の顔をのぞく込むようにして答えたのだ。
「悪いことは、だめ」
たがやす5
たがやす7